まもなく春ですね。温ちゃんです。
レイチェル・カーソンが「沈黙の春」を世に出してから約半世紀、いよいよ沈黙の春が現実になってきています。
お茶やみかん、お米の農薬として、また松枯れ防止の薬剤として、家庭用ではガーデニング用殺虫剤、家庭用アリ駆除剤、ペットのシラミ・ノミ取り、ゴキブリ駆除、スプレー殺虫剤などで、ネオニコチノイド農薬の使用が増えています。
このネオニコチノイド農薬によって、私たちのまわりからミツバチや小鳥や様々な虫たちがどんどん消えているらしいということがわかってきました。
江戸時代の農薬と言えば、鯨油や石灰、たばこや樟脳でした。それでも人に害があると藩によっては使用が禁止されていたようです。
化学合成された農薬が広くでまわるようになったのは戦後。枯葉剤が除草剤に化けたように、様々な農薬が戦争中の化学兵器を産業用に転用して広がっていきました。
戦後の農薬と言えばまっさきに思い浮かぶのがDDT、ノミしらみ駆除に頭から吹きかけられている写真を見たことある人もいるのでは。DDTやBHTなどの有機塩素系農薬は開発当初は大歓迎されて一気に広がりましたが、70年代にはもっとも危険な農薬として使用が禁止されました。
次に登場したのはマラソン、フェニトロチオンなどの有機リン系農薬。その神経毒性の強さを指摘されながら分解が早く強力な殺虫剤として40年近く世界中で使われてきました。
16年かけた調査研究の結果その毒性が証明され2007年にはEUで禁止された有機リン系農薬ですが、まだたくさんの農家が使っている日本では、その影響が大きいからと禁止されずにいるのです。
でも、禁止されるのは時間の問題だということで、今急速に使用量が増えているのがネオニコチノイド農薬。ところがミツバチの大量失踪や大量死がこのネオニコチノイド農薬が原因だということで、欧米では使用が制限されつつある農薬です。
ここ半世紀の農薬の歴史は、新しい農薬が登場しもてはやされ世界中に広がり、しばらくすると予期しない危険性があるということで禁止され、かわりの農薬が登場するといった繰り返しです。
ネオニコチノイド農薬は虫や人の神経系に作用して、虫を殺すだけでなく、人に対しては自律神経や中枢神経に悪さする可能性が懸念されています。
ヨーロッパではネオニコチノイド農薬が規制や禁止の動きがある中で、数百倍残留基準値が甘い日本では産業界の後押しでさらにネオニコチノイド農薬の規制が大幅に緩和されようとしています。
虫も鳥もバーチャル映像でしか出会えない未来の中で、私たちの子孫はどんな夢をみればいいというのでしょうか?
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ネオニコチノイド系農薬の残留基準値の規制緩和の即時凍結を求め ――グリーンピースがNGO5団体と厚生労働省に申し入れ
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2014/pr20140203/